■ビジョントレーニング
◎視覚-ビジョンとは?
「見る」という行為は、テレビのスイッチを入れるように、ただ単に眼を開けていれば成し得ることではない。私たちは、瞳に映った映像を、五感などの様々な感覚や脳に保存した情報と照らし合わせ、意味を与えながら「見ている」。これが、視覚-ビジョンのプロセスである。
◎視力と視覚の違い
視力は「ハッキリ見る」という仕事をしてくれるが、ビジョンは「見たものを“意味ある情報”へ導く」という更に重要な仕事をしてくれる。これが視力と視覚の違いである。
◎本当に「見えている」とは?
人間は、情報収集力の80%以上を眼に依存していると言われており、日々の行動やその成果は「見る」ことから大きく影響を受ける。
実のところ、私たちは眼だけでモノを見ているわけではない。もちろん視力も大切だが、脳と体で対象物を分析できて初めて、モノが「見えている」と言える。つまり、「よく見える眼」とは、見たものを脳だけでなく体も含めて「認識できている眼」のことを言う。
◎ビジョンに問題があると?
もしビジョンのプロセスがうまく働いていないと、たとえハッキリ見えていても、情報のポイントをつかめておらず、実際には正しく見えていないということも起こり得る。学校の成績が芳しくない子供、スポーツが苦手な若者、仕事のミスが多いビジネスパーソン、あるいは交通事故を繰り返し起こす人は、やる気の問題とか能力の問題ではなく、ビジョンの問題を抱えていることも考えられる。
◎“見る”には3つの要素がある
私たちの眼は、単にモノをはっきり見ることだけではなく、見ようとするものを広い範囲の視野の中から素早く見つけ、奥行きや立体感のある3D映像として捉えながら、見たものが何であるのかを脳で理解し、体で反応しなくてはならない。これらすべてが正しく働いて始めて「よく見えている」と言える。
①情報を鮮明に見る=「感覚機能」
視力が良いことは重要な機能だが、視力検査の結果が良くても、屈折異常などが隠れていては、安定した視力とは言えない。
②情報を正確に集める=「運動機能」
様々な方向から、そして、遠いところからも近いところからも、多様に入って来る光を逃すまいと正確に収集する能力。そのため、両眼はクルクルとよく動かなければならず、眼のピント合わせも上手でなければならない。また、眼が2つある以上、両眼のチームワークも重要になる。ビジョンの運動機能は、眼球運動、焦点合わせ機能、両眼のチームワークの3拍子が揃ってこそ高まる。
③脳と連携して情報を処理する=「情報処理機能」
眼に入った光の情報を分析したり、記憶として整理整頓したり、反応したりする機能。ここで重要なことは、他の感覚(聴覚・嗅覚・触覚・味覚・体性感覚など)や機能との相互作用も備わっていること。
私たちが「理想のビジョン」を得て、素晴らしい人生の鍵を手に入れるためには、この3つの要素が互いにうまく嚙み合って機能することが求められる。