褒めるか方が良いのか?叱る方が良いのか?はたして、どちらが良いのか?は、おそらく多くの指導者が迷うところだろうと思います。そこで今回は、この問題を「平均への回帰」という観点から考えてみましょう。

まず、あなたは指導者として、誰かの教育を担当していると仮定します。その相手が、明らかに能力を発揮できず失敗した場合、叱ったり励ましたりしながら、次の機会では能力を発揮できるように対応することが多いはずです。一方、いつも以上の能力を発揮して成功した場合、褒めたり称えたり、あるいは一緒に喜んだりしながら、次の機会でも同じような結果を残せるように対応することが多いかも知れません。

その結果、次の機会で、前回失敗した人は、見事に挽回して通常以上の成績を残し、前回成功した人は、打って変わって能力を発揮できず失敗すれば、その成功もしくは失敗(の一部)は、自分の対応の影響だと感じるのではないでしょうか。

実際のところ、大きな失敗の後に成功、大きな成功の後に失敗という現象は、高い確率で起こり得ます。なぜなら、実力そのものが上がるか下がるかしない限り、予想以上の成績も以下の成績も単なる外れ値に過ぎず、ある程度の長い目で見れば、結果は必ず平均値に収束するからです。

しかしながら、ここで指導者は、(失敗した時に)叱るか励ますことは次回の成功に繋がりやすく、(成功した時に)褒めるか称えることは次回の失敗に繋がりやすいことを学習します。そこから、次回の成功率を高めようとすれば、叱咤もしくは激励が優先され、褒め称えることを避けるようになり、気が付けば、もっともっとと相手を追い込む指導者が誕生することになります。

ここで、実際の学習効果について説明しておくと、減点法(叱るなどの罰を与える)と加点法(褒めるなどの報酬を与える)を比較した場合、学習効果を早く成立させるのは減点法で、学習効果を長く定着させるのは加点法と言われています。

この辺りのことは、例えば学校部活動において、限られた在学期間の勝ち負けに価値を置けば叱ることが重視され、卒業後を含めた教育効果に価値を置けば褒めることが重視される。つまり、短期的な発想で指導するのか、長期的な発想で指導するのかという行動にも現れる内容です。 私個人は短期的な発想で指導する立場にいないこともあり、指導者にとって大事なのは、結果に対して一喜一憂することではなく、「平均への回帰」を頭に入れながら、実力と結果の関係を適切に把握して次の手を打つことだと考えています。よって、褒めるか?叱るか?の前に、まずは、よく観察することが大事というのが私の意見です。