引き続き、MWT協会の初代会長で、現相談役の志賀一雅が2022年に出版した「神さまの周波数とシンクロする方法」(ビオ・マガジン)がYouTubeで取り上げられている件について。

今回のチャンネル名は「異次元の不思議ちゃん」で、登録者数は4.47万人。タイトルは「【引き寄せの法則】7.8Hzの神秘:呼吸だけで願いを叶える「神さまの周波数」の驚異的パワー!宇宙と共鳴する誰も教えてくれなかった「良かった・ありがとう」呼吸法の驚くべき効果とは?【スピリチュアル】」で、再生回数は6.2万回です(数字はすべて2025年7月末時点)。

この動画の特徴は、なんと言っても再生時間52分36秒という長さ。ただし、その分(?)ツッコミどころが多めかなと思いました。細かい部分まで取り上げていくと字数が多くなるので、重要そうなところをピックアップして補足説明します。

松下幸之助さんのくだりで、「当時、脳波研究の第一人者であった志賀一雅さんが松下さんの元へ呼ばれました」とありますが、この時点では、まだ松下電器産業の社員であり、脳波の研究者として注目される存在ではありませんでした。

「脳波の種類」という表が登場しますが、全体的に志賀の考えと異なります。志賀はα波を7~14Hzの範囲と考えているため、7.8Hzはθ波ではなく、α波(スローα波)に含まれます。7.8Hzを語るのであれば、ここは押さえておきたいポイントです。

「優れた研究者や特許出願率の高い技術者、記憶力の世界チャンピオン、将棋の名人など、卓越した能力を持つ人々の脳波」は、スローα波(7.8Hz)ではなく、ミッドα波(10Hz)優位でした。その他の箇所でも、この辺りの認識が混乱しているように思います。

全体的に7.8Hzを信奉するあまり、10Hzに対する否定的な説明が多いように感じられるのですが(この動画に限らず)、志賀説においても、10Hzは「空間に存在する自然の波動の助けを借りることができない」(7.8Hzだとこれが可能)というだけで、10Hzの状態を否定しているわけではありません。そもそも、意識でコントロールしやすいのは10Hzですし、「脳波の同調現象」は10Hzでも起きます。

「現代生活に合わせた実践的なアプローチ」として紹介されている方法など、チャンネル主の意見と思われるものも多い印象ですが、最後に伝えておきたいのは、「意識すると7.8Hzは出にくくなる」ということです。