住友 大我

2023年1月

明けましておめでとうございます。

2023年は、一般社団法人MWT協会(2013年~)が創業10周年、グループ企業である株式会社脳力開発研究所(1983年~)が創業40周年を迎える節目の年です。これまで支えてくださった皆様のお力添えに、この場を借りて心より感謝を申し上げます。

2023年2月26日(日)に、東京(東京ドームの間近)で周年記念の祝賀会を開催します。このエッセイをご覧の方はご参加可能ですので、よろしければお申し込みください。

http://www.alphacom.co.jp/event/20230226.html

社名に「脳力」という単語が使われている通り、脳力開発研究所は「脳」の「力」にこだわりながら活動を続けて参りました。「のうりょく」という音から連想する漢字は、「能力」が一般的かも知れませんが(ですからメールでも書類でも本当によく間違われますが)、その表現では「脳」に注目する意識が薄れてしまうと思います。

脳力開発研究所の創業者であり、MWT協会の会長でもある志賀一雅が、脳の、そして脳波の研究のために会社を設立するのであれば、漠然とした意味を持つ「能力」ではなく、脳波の計測結果をもとに、脳の力を発揮しやすいコンディションと、そのコンディションの作り方について研究していることを分かりやすく打ち出す「脳力」の方が、社名として相応しいであろうという判断でした。

今では何となく浸透している感のある「脳力」ですが、40年前は、まだ一般的ではなかったのでしょう。法務局で社名を登記しようとしたところ、すんなりとは受け付けてもらえなかったのだそうです。その状況を打破してくれたのが、夏目漱石の「吾輩は猫である」の中で「脳力」という表現が使われていた事実。よって、この社名が存在しているのは、漱石様の権威のおかげとも言えるのかも知れません。

さて、脳力を発揮しやすいコンディションの作り方をまとめたものが、メンタルウェルネストレーニング(MWT)ですから、MWTとして伝えている内容も、当然「脳力」発揮のための方法です。また、ビジョントレーニングも、「脳育」の一環として、やはり「脳力」を発揮するための方法と言えます。 生きている限り、脳の活動が止まることはありません。つまり、生きることは脳を使い続けることでもありますから、より良く脳を使うことは、より良く生きることに直結します。区切りの年となる2023年も、皆様の「脳力」発揮をサポート出来るように活動を続けて参ります。より一層のご愛顧を賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。

2022年12月

世間の流れには乗っておこうということで、今回はサッカーW杯の話題です。

ベスト8まで、あと一歩。本当に惜しかったですが、120分を戦い抜いた後のPK決着というのは、いつものことながら酷だなと思いました。それにしても、グループステージで日本代表がドイツ、スペインに勝利した試合は、後半のひっくり返し方が素晴らしかったと思う一方、日本代表に対する評価のひっくり返り方も、すごかったですね。恒例というか、お約束というか、それだけサッカー愛が強い証拠なのかも知れませんが…。

さて、今回のサッカー日本代表には大卒者が多いという記事を目にしました(2002年3人→2022年9人)。その記事によると、代表メンバーの中のある選手は、高校時代に10番(一般的にはエースナンバー)を背負い「やんちゃな部分もあった」が、セレクションを受けたり、自分が好きな(得意な)ポジション以外でのプレーを経験したりする中で我慢を覚え「人間性」が形成された。

一方、大学には行かず18歳でプロになると、「伸び盛りの時期に試合経験を積めず、プライドが邪魔して成長を止めてしまうケース」もあるとのことで、18歳でプロになれるわけですから、たいていは際立った才能が認められているはずなのに、「人間性」に関わる部分が阻害要因となり、成長を妨げてしまうという感じでしょうか。

この手の話は以前にもありました。「サッカー日本代表になる選手には高校の部活出身者が多く、クラブユース出身者が少ない」とか「ユース出身の選手は巧いし技術もあるが、いざという時に力を出せない」とか。

(※)今は、そのような明確な傾向はありませんので、過去の話として続きをお読みください。

理由は、ユースだと、グラウンドも芝で、グラウンド整備もボール磨きも担当の人がいて、サッカーだけに集中できる環境が整えられている。一方、高校の部活だと、ボール拾いもグラウンド整備も、場合によっては応援団も自分たちでやらないといけない。そういう環境の中で、技術以外のことも学び、色々な角度からサッカーを見られるようになる。このユースと部活の環境の違いが、試合に臨む時の気持ちや、ここぞという時の粘り強さに出る云々。

また、部活では、サッカー部以外の人との交流があるのも良いと言われていました。色々な競技や選手から刺激を受けるのも大事ということです。

いずれの話も、「人間性」の向上がプレーヤーとしての向上にも繋がるということで、確かに人がプレーするわけですから、人としての総合力みたいなものが重要なのは事実だと思います。

2022年11月

YouTubeのメンタルウェルネストレーニング協会チャンネルで「志賀式実践メンタルトレーニング」の音源をリリース開始しました。全15種類のプログラムを、おおよそ週1回ペースで公開していく予定ですので、完了は来年1月くらいになると思います。最終プログラムが「成功・開運のプログラム」(予定)のため、追加される音源を順次実践していくと、新年にぴったりの、めでたい1月を迎えられるはずです!

メンタルウェルネストレーニング(MWT)は、文部科学省委託事業としてスタートしたため、朝礼や授業前などの短時間で実践できるよう、目安3分の設定で各プログラムを作り直しましたが、オリジナルのメンタルトレーニングとしては、約10分~30分以上の本格的なプログラムまであります。取り組む時間が長いほど、トレーニングの効果を発揮しやすいわけではないのですが、私がメンタルトレーニングを学び始めた約20年前は、長尺のフルバージョンも含まれていましたし、MWT(協会)の認知度を高める意味でも、音源を公開する運びとなりました。

これから公開する予定の「蓮の花になる瞑想(ロータス・メディテーション)」など、MWTと比較すると、だいぶ濃い目なプログラムもありますが、個人的には、どれも懐かしいものばかりです。

このプログラム全体のキャッチフレーズは「成功という階段を駆け上がるチャンス」。脳力を引き出し、現実を夢に近づけ、人生を大きく変えるためのトレーニングとして作られていますので、皆様にも、ぜひ実践して頂きたい内容です。当プログラムの創始者・志賀一雅の声による誘導と(アルファ波を誘発する)アルファ音楽を聞きながらの実践という点では、MWTと異なる趣の新鮮なトレーニング体験にもなると思います。

エッセイ執筆時点(11/8)の公開音源

・Session2 呼吸とリラクゼーション

・Session3 リラックスの強化

・Session4 自由連想

・Session5 アルファ波のコントロール

・Session6 アルファ波の強化

※ Session1は諸事情により非公開です。

既に公開中のMWTと同様、末永くご活用ください。

2022年10月

前回(2022年9月)の続きです。

ハイパーソニック・サウンド(HSE)とは、狩猟採集民として長期間を過ごした「熱帯雨林」などに豊かな音であり、その環境に適応進化した結果、現生人類に身に付いたものではないかというのが大橋氏の分析です。実際、熱帯雨林環境には20kHz以上の(100kHzを超える)超高周波成分が豊富に含まれている一方、都市化が進むほど超高周波領域は著しく貧弱になることが示されています。

また、騒音の大きさを示す単位はdB(デシベル)ですが、聴覚が健康な人に聞こえる最も弱い音を0dBとして、その10倍を10dB、100倍を20dB、1000倍を30dBと表記します(dBは音の大きさ、Hzは音の高さです)。色々な音のdBをまとめると下記の通りです。

120dB 飛行機のエンジン

110dB 自動車のクラクション

100dB 電車が通る時のガード下

 90dB 騒々しい工場の中

80dB 窓を開けた地下鉄の車内

70dB 騒々しい事務所や街頭、掃除機、電車のベル

60dB 乗用車の社内、洗濯機、普通の会話

50dB 静かな事務所、家庭用クーラーの室外機

40dB 深夜の市内、図書館、静かな住宅地の昼

30dB 郊外の深夜、囁き声

20dB 木の葉の触れ合う音、置き時計の秒針の音

100dB辺りの音を想像すると、確かにうるさそうだなと思いますが、実は、熱帯雨林を含めた自然環境にも100dBを超える音は存在していて、では、それを不快に感じるかというと、そうとは限らず、むしろ心地よさを感じることさえあると言われています。その理由は、「高複雑性超高周波音」という音の情報構造にあるようですが、詳しい内容は、大橋氏の著書などをご確認いただくとして、簡単に言うと、変化に富んだ豊かな音という感じです。

大橋氏の著書では

現代文明圏の環境音として

・都市の静寂な室内音

・トラックが通過している道路の音

稲作漁撈文明圏の環境音として

・筑波の屋敷林

・ジャワ島熱帯雨林

・バリの村里

・ボルネオ熱帯雨林

などのスペクトル(※)が紹介されています。

(※)複雑な組成を持つものを成分に分解して、量や強度の順に規則的に並べたもの。

したがって、“うるさい音”は、音が大きいから“うるさい”とは言い切れず、音を構成する成分が重要ということになりますが、トラックの通過音のような、都市環境で生まれる人工的な音のスペクトルを見てみると、確かに、周波数の変化(20kHzを超える音)などが、ほとんど含まれていません。脳波の話にも出てきますが、「ゆらぎ」がない状態です。

 

特定の周波数を(耳や体で)聴くことの効果を謳う説もありますが、そこに自然な「ゆらぎ」がない(人工的に作られたものである)とすると、そもそも不自然で、それで本当に効果があるのか?という疑問は、HSEの研究からも窺われるところではあります。  熱帯雨林環境以外の「高複雑性超高周波音」を含む環境などについては、次月以降で。

2022年9月

可聴周波数帯域を超えた超高周波成分を含む音が、脳深部の基幹脳ネットワーク(間脳・中脳・前頭前野など)の活性度を高め、心身にポジティブな効果をもたらす現象「ハイパーソニック・エフェクト(HSE)」について。大橋力氏(映画『AKIRA』の劇伴音楽を担当した芸能山城組を率いる音楽家・山城祥二氏と同一人物)の研究によると、人間が認識できる上限周波数20kHzの音に、50kHz以上の超高周波成分を加えて再生すると、(超高周波成分は音として認識できないにも関わらず)音の印象が変わり、心身にポジティブな反応が表れるのだそうです。

今や平成時代の遺物と化しつつあるCD(Compact Disc)には、規格上22.05kHzまでの音しか収録できません。その理由はいくつかあるようですが、例えば、人間の可聴域がおよそ20Hz~20kHzであり、しかも15kHz以上の音は音質に影響を与えないと考えられているため、20kHzくらいまでの音を再生できれば十分だから…など。しかし、自身の作品をCD化した結果、レコード(昭和時代の遺物?)からの音質の落差に大きなショックを受けた大橋氏が、脳科学の手法を導入して生理的反応面から見出した根拠がHSEでした。

可聴音のみの音と比較して、ハイパーソニック・サウンド(可聴音+超高周波音)では、基幹脳(間脳・中脳・前頭前野など)の血流増大、脳波α波の増大、免疫系への影響(NK:ナチュラルキラー細胞の活性)、内分泌系への影響(アドレナリンやコルチゾールなどストレス関連ホルモンの減少)、接近行動の増加(より大きな音で聴きたい)、好感度の増加(感動した、音質がよい、耳あたりよく響く)、また、映像と組み合わせた時の影響(画質がよい、美しく見える)などの、生理的指標を含めた効果(HSE)が確認されているようです。

接近行動や好感度の増加が、脳波α波の増大をもたらし、免疫系や内分泌系への影響に繋がるというのが、メンタルウェルネストレーニング的観点から考えられる一つの道筋でしょうか。

では、なぜHSEが起こるのか?続きは次月以降で。

2022年8月

現在、MWT協会の機関誌を製作している最中ですが、私も毎回2~3の記事を担当していて、その過程で不採用にする文章が、いくつかあります。普段は、そのまま削除して終わるのですが、ちょうどメルマガを書く時期と重なったため、その中からネタを1つ転用しようと思います。

参考文献は「予測不能の時代」(著者:矢野和男)

テーマは、エントロピー増大の法則と不平等の拡大。

エントロピー増大の法則(熱力学第2法則)については、大学時代に履修した「論理学」という結構マイナーな授業でも扱っていた記憶があるのですが、自然法則としては基本中の基本。ちなみに、熱力学第1法則は、ご存じ「エネルギー保存の法則」です。

授業で学んだ時は、エントロピーに「乱雑さ」とか「無秩序さ」という日本語を充てて、エネルギーが低い状態に向かい「乱雑さ」を増して行く現象とか、そのような説明を受けました。水は低きに流れるとか、暑いと氷は解ける、寒いと水は凍るとか、そんな感じのことをイメージすれば分かりやすいでしょうか。

この現象は森羅万象に当てはまります。当然、人体もエントロピーが増大するわけですから、時間が経つにつれて乱雑さが増し、老化が進み、その最終形として「死」に至るというわけ。より具体的には、細胞の境目が曖昧になるという意味での乱雑さが「老化」を表しているらしいですが。

さて、エントロピー増大の法則をシミュレーションするために、平等な状態から始めて、平等な確率で行われる取引を繰り返すと、最終的には不平等になる、つまり格差が生じるのだそうです。なぜなら、乱雑さとは、ばらつき=多様性がある状態のことで、多様性がある=違いがあるということで、違いがある=格差があるということだから。

もう気が付かれた方もいらっしゃるかも知れませんが、乱雑さとは、言い換えると“自然な”状態のことです。よって、先のシミュレーションにおける“平等”とは、本質的に不自然な状態であり、(多様性を認めることも認めないことも含めた)多様性こそ、自然が進む本来の方向性である、ゆえに格差が生じるというわけですね。

裏返すと、平等(が良いか悪いかの議論はさておき)のような“作られた”状態が維持されるのは(身に付くのは)、意図的な働きかけの結果ということも表しているのだと思います。

2022年7月

メンタルウェルネストレーニング(MWT)協会では、今年から沖縄の定期講座を開始しました。3月のビジョントレーニング2級、6月のビジョントレーニング1級が終了して、9月には再びビジョン2級を開催する予定です。

さて、私の生まれ育ちが東京だからでしょうか、沖縄(のような自然環境が豊かな地域)では、屋外で遊ぶ子供が多いのだろうと(だいぶ前まで)勝手に思っていたのですが、必ずしもそうとは言えないようですね。

そもそも暑くて外に出たくない(出られない)という理由もあるのかも知れませんが、沖縄に行くといつも思うのは、外を歩いている人が少ないなぁということ。移動手段=電車中心である東京の場合、駅間を移動したり乗り継ぎをしたりするのに、どうしてもある程度は歩く必要があります(“ある程度”ですから、十分かどうかとは別問題ですが)。

ところが、移動手段は自動車がメイン、徒歩数分のコンビニに行くにも車を使うとなると、歩くこと自体が少なくなりますよね…というのは、ほんの一例ですが、動く生き物である“ヒト”から動く機会が失われれば、単なる運動不足だけでなく、そこから派生する問題も色々と増えて来そうな気がします。

ヒトの成長には、大まかに、遺伝50%、経験50%が関与するとも言われていて、後者の「経験」は「環境」と言い換えることも出来ますが、その「環境」には、いわゆる自然環境だけでなく、生育環境や家庭環境のようなものも含まれます。

動物としてのヒトの発育・成長には、動きによる学び≒体験が不可欠で、これから社会が、どのように変化して行くのか分かりませんが、たとえ大きな変化が起こるとしても、ヒトというシステムに必須な体験まで、大きく変わることは考えにくいでしょう。

「環境」が変わり、「動き」の機会が失われたなら、そこに対して「遊び」からのアプローチを試みる。これが、MWT協会が提供するビジョントレーニングでもあります。

2022年6月

今回は、最近とある地方都市を訪問した際に気が付いたことから。

宿泊したホテルから、徒歩で約10分の距離にある最寄り駅に向かっていたのですが、人通りが少なく擦れ違った人は2~3人。でも、皆さん当たり前のようにマスクを着用されていて、もちろん私も、その中に含まれていました。

新型コロナウイルスの感染状況が落ち着きつつあり、なおかつ、夏の暑さが本格化する時期を迎えて思うことは、さて、いつマスクを外すことが出来るのでしょう?

日本人である私としては、街を歩く、ほぼ全員がマスク姿という光景を目にすると、やはり「ちょっと外しにくいよな~」と周囲の視線が気になってしまいます。何せ、空気を読みまくる国の住民ですので。

もちろん、暑かろうが寒かろうがマスクをしたい人はすれば良いし、マスクの恩恵(化粧のこととか、顔を隠せることとか)を知ってしまった2年余りを思えば、むしろ外したくないと思う人がいても何ら不思議な気はしません。

でも、内閣官房のホームページには「屋外において、他者と身体的距離が確保できる場合、他者と距離がとれない場合であっても会話をほとんど行わない場合は、マスクの着用は必要ありません。特に夏場については、熱中症予防の観点から、マスクを外すことを推奨します。」と書かれています(2022年6月3日時点)。

なのに、永田町・国会議事堂などの周辺で、例えば、警備の仕事をされている方が今のところ漏れなくマスク着用という事実は、どう理解すれば良いのでしょう。全員みずから進んでマスクをしているのでしょうか?それとも“本音”と“建前”の使い分けでしょうか?

自粛を強制したり、設置を強要したりするようなリーダーシップにも疑問を感じる一方、“推奨”なら、そう「しやすい」雰囲気づくりにも同時に力を入れるべきではないかと思うところもあります。

世界規模でリーダーシップのあり方が問われている昨今、「先ず隗より始めよ」とも言われるように、みずからの行動によって範を示すことも必要なのではないかという話でした。

2022年5月

先月(2022年4月)の続きです。

内容を簡単に振り返っておくと…

能力発揮やモチベーション維持などの観点からは、①内発的動機が望ましく、しかも、②外発的動機と(あまり)混在しない方が、目標を達成する確率も達成した目標が持続する確率も高まるということでした。

でも、仮に①からスタートしたとして、そのまま①を貫徹できる人は、果たしてどれくらいいるでしょうか?

何かを(ある程度)長く続けていれば、単純に飽きたり、隣の芝生が青く見えたり、自分でもよく分からない不安定な心に引きずられて、何となく気持ちが萎えてしまうなんてことは、当たり前のように起こり得ますよね?

となると、ある疑問が浮かぶと思うのですが…

そういう気持ちの揺れ動きを乗り越えて、一心不乱に続けている(ように見える)人は、いったい何をしているのでしょう?

いつもながらの断りを入れておきますが、答えは1つではありません。でも、よくある対処法としては、①②を上手に入れ替えながらモチベーションを持続させているというものです(“意識的に”入れ替えるだけでなく、“結果的に”入れ替えていることも含めて)。

どんな人であっても、全く飽きないなんてことは、やはりなかなかありませんので、適当なタイミングで何かの大会に出てみるとか、コンクールに応募してみるとか、あるいは、憧れの人を真似てみたり、新しい道具や方法を試してみたりするのも良いかも知れません。

要するに、時には多少のストレスも加えながら、意識的にも無意識的にもマンネリ化させないための工夫を、ひたすら繰り返していることが多いと言われています。ですから、②外発的動機は決して役に立たないわけではなく、時宜に合わせて上手に活用すれば、モチベーション維持にも目標達成にも役立つということですね。

1つ付け加えておくと、②外発的動機が“多すぎる”と阻害要因として働く可能性が高くなるので、適切な範囲に絞るのは有効な取り入れ方だと思います。

ということで、モチベーション維持に必要なことを記して、まとめとします。

・その時々に効果的な動機を把握すること

・その動機に基づいた対処法を設定すること

当たり前のことだと思いましたか?

その通り。

でも、それをどこまで高い精度で繰り返せるかが、(ひとまずは)勝負の分かれ目であり、それは古今東西において変わらない真実です。

2022年4月

株式会社 脳力開発研究所の創業者である志賀一雅のもとで、現役時代からメンタルトレーニングを実践されている倉野信次さん(株式会社 FOR ONE COMPANY/元・福岡ソフトバンクホークス投手統括コーチ)が、ご著書を上梓されました。

「魔改造はなぜ成功するのか」(KADOKAWA)

武田翔太はなぜ伸びた?

千賀滉大のどこに注目した?

努力を引き出す育成論

指導者としての考え方や態度など、参考になることが、たくさん書かれています。ぜひご一読ください。

https://www.shinji-kurano41.com/

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今回は、イエール大学のウルゼスニフスキー博士が、米国科学アカデミー紀要に発表した論文から。

①内発的動機

例)好きだからする、他の何かでは代替できない

②外発的動機

例)具体的な目標のためにする、他の何かでも代替できる

※以下では「動機」と「モチベーション」を同義で使います。

米国陸軍士官学校(ウェストポイント)の士官候補生1万人以上を対象とした、14年にわたる調査によると、士官(将校)を志した理由で

①>②の場合(内発的動機が強い)と

①<②の場合(外発的動機が強い)を比べると

前者の場合の方が、将校に出世できる確率が約1.5倍高く、その後の5年間、仕事を辞めずに続けられた人の数も約2倍多かったのだそうです。

よって、能力発揮やモチベーション維持などの観点からは、①内発的動機の方が望ましいというのが、ひとまずの結論。

でも、「動機」は、①②どちらか一方だけではなく、併存する場合もあるのでは?その場合はどうなの?という疑問もあり得るところ、それに対するウルゼスニフスキー博士の回答は次の通り。

①内発的動機が強くても、②外発的動機を多く持っていると、将校になる確率が約20%下がる。

②の“多く”というのが大事なところですが 、その場合、気落ちがブレやすくなるとか、おおよそ、そんなことが理由で下がってしまうようなのです。「なるほど」と思えるのは、外発的動機の多くは、個人的な“欲”から生まれるものだったりしますのでね。

ここから例えば、純粋に好きという気持ちに基づいて行動できれば、目標を達成する確率は上がるし、達成した目標が持続する確率も上がるという結論が導かれるわけですが…

長くなりましたので、ここまでの内容を踏まえた上で、次回もう少し先に話を進めてみようと思います。