2021年11月

前回の続きで、ダイエットの話から再開します。

痩せよう(体重を減らそう)とする場合、モチベーションに頼るのであれば、目標を定めて、期間を決めて、そこにスペシャルなメニューを投入して数値を合わせる。まさに減量という表現がピッタリだと個人的には思います。ただし、目標達成後の認知的コスト、心理的コスト、金銭的コストetc.とにかくコストが膨大に掛かるため、維持・継続が困難で、いずれ元の状態に戻ってしまう人も多いのではないでしょうか。

一方、同じく痩せようとする場合でも、モチベーション云々とは無関係に、習慣を見直すのであれば、減量ではなく、ダイエットとか、そういう表現の方が適当だと思います。こちらで痩せるのは、あくまでも結果論であり、最も重要なのは、行動パターンの変化ですね。

上の例は、ダイエットに限らず、その他の色々なことにも当てはまると思いますが、何かを止めるとか、頑張って続けるとか、いずれにしても強い意志を要することは、継続という観点からみると不都合で、意志力という貴重な資源の無駄使いにもなるため、長期的に望ましい方法とは言えません。

(意志力を発揮したり、判断力の行使を繰り返したりしていると、認知機能の疲労から、次第に精度が落ちていくようです。)

多くの人は、毎日歯を磨きますよね。なぜでしょう?

スッキリするから?

気持ちは分かりますが、それが最大の理由ですか?

エチケットのため?

他人と会わずに過ごす日でも歯を磨く人が多いのでは?

虫歯や病気を防ぐため?

1日さぼるくらいなら大丈夫では?(多分)

本当の答えは、毎日やっていることだからとか、磨いた方が良い気がするからとか、理由と呼べるほどのものが有るような無いような、そんな何となくの繰り返しが続いているということなのだと思います。当然、ここには明確なモチベーション≒意志力はなく、だからこそ、毎日続けられているという方が、より現実に近いのではないでしょうか。

継続は力なりが真だとすると、長期的な継続のために不可欠なことは、モチベーションを高めるよりも、モチベーションを伴わない習慣化=行動パターンの形成にあるはずです。これが、いわゆるルーティン化と呼ばれるもので、ここまで至れば、当初に掲げた目標は自ずと達成されやすくなるでしょう。

2021年10月

季節の変わり目ということもあり、体調を崩す人が増えているようです。これから徐々に気温が下がり、乾燥した季節に変わり、コロナウイルスがなくても、風邪やら何やらが増えてくる時期ですので(単なる風邪でも肩身の狭い思いを強いられる昨今ですので)、皆様どうぞご自愛ください。

前回は、習慣化とはモチベーションに頼らない行動のことであり、その方が行動の継続率は上がるというような話をしました。今回は、その続きです。なお、モチベーションが大事という四方山話は、そこかしこに転がっていますので、必要であれば各々検索してみてください。

まず初めに、モチベーションの重要性は認めるとしても、本当にモチベーションなるものを必要としている人が一体どれくらいいるのかということについて。

これは私個人の意見ですが、内発的にしろ、外発的にしろ、何かを継続する(させる)には、どちらも有効だと思います。でも、最終的にはモチベーションから抜け出ることが、より望ましく、また、短期的に結果を出すだけなら、モチベーションは敢えて必要ないとも感じています。

確かに、オリンピックやパラリンピックなど、短~中期の期間限定で、なおかつ、明確で大きめの目標に向かう場合は、モチベーションの操作が役に立つこともあります。特に、辛く過酷な時期を乗り越えるには、時に外的な、時に内的なモチベーションを織り交ぜながら、いかに行動を継続させていくかが大きな課題と言えるでしょう。

ただし、モチベーションを当てにしてしまうと、モチベーションの切れ目が縁の切れ目で、元の鞘に収まる終わりの始まり。元の木阿弥に終わる可能性が高いように思います。

むしろ、「こうなりたい」「ああなりたい」という類の、割と身近な夢や目標を達成して、そこから次の一歩に繋げたいのであれば、モチベーションよりも習慣化の方が遥かに重要で、具体例としては、ありきたりですがダイエットなど。これは、数千年前から続く人類の課題の一つと言われていますが、ダイエット産業が成り立つ理由は、やはり一過性であるためですよね…。

続きは、おそらく次回に書きます。

2021年9月

地域によっては、昨年以上に行動を制限された夏が過ぎ去ろうとしています。これから先の未来において、今年の夏は、どう思い出され、どう語られて行くのでしょうか。

私の世代は、カルチャーの中心に音楽が鎮座していた、おそらく最終盤あたりに青春を過ごしたため、ある楽曲を語ることが、その時代を語ることになるというくらい、思い出と音楽がセットで記憶されている人も多いと思います(私が音楽好きだっただけかも知れませんが)。

そのおかげで、何度、夏を繰り返しても、何となく、あの曲を聴かないと夏が始まって終わった気がしない…みたいな定番の楽曲があったりするのですが、さすがに今年は、東京から一歩も出ておらず、あまりにも出来事がなさすぎたため、そんな音楽すらも必要としないまま、夏が終わりを迎えつつあります。

人の行動習慣には、あってもなくても良いような、惰性で繰り返していることも多いため、此度のような行動制限を強制されると、改めて本当に必要なのかどうか、篩(ふるい)に掛けられた習慣も多かったのではないでしょうか(何となく通っていた○○とかが典型ですね)。

その一方、新たに加わった習慣もあるはずで、代表的なものは、手洗い、うがいなど。

思い返すと、コロナ以前の手洗い、うがいは、結構いい加減というか、正直なところ、きちんと励行せずに過ごしていたことも多かったように思います。それでも、ほとんど体調を崩さずにいられたのは、日頃のメンタルトレーニングのおかげとも言えますが、あまり褒められたものではありませんね。

感染状況が落ち着いても、日常の手洗い、うがいは、そのまま続ける人が多いであろうと予想しますが、その時は、おそらく無意識に近い、何となくの流れで実行する感じになるのではないかと。そして、その感じが正に、本物の習慣化を表す状態であり、そうなると、モチベーションに頼らない分、行動が継続されやすくなります

…と

ここから別のテーマに展開しようと思ったのですが、話が少々長くなったため、今回は、ここで終わりにします。いちおう書こうと思っていたのは、ダイエットについてですが、もし他の話題を思い付かなければ、次回?続きを書くかも知れません。

2021年8月

やはりこの話題は外せない!いよいよ始まった東京2020!

…と書き始めてはみたものの、東京在住でありながら、その雰囲気をほぼ感じることなく、第1部の祭りがフィナーレを迎えます(今は8月初旬)。パラリンピックは8/24(火)~。

国立競技場の最寄り駅でも、普段通りの人流があるくらいで、本当に開催しているの?という印象ですが、コロナ禍の無観客開催であることと、東京開催と言いながら、東京で実施していない競技も結構あることを思えば当然かも知れません。

それにしても、選手の皆様は何か色々なものを背負わされているようで…。それを乗り越えてこそ競技者だ、日本代表だという意見もあるとは思いますが、本当にそうでしょうか?ちょっと担わせすぎの(利用しすぎの)気もします。

ご本人が好き好んで受け入れているのならまだしも、背負わせるものを無限増殖させるための体の良い物語が次々と(他人の思惑で勝手に)仕立て上げられているようで…なんてことを書いていたら、タイガーウッズ選手の言葉を思い出しました。「プロのゴルフは、テレビのスウィッチをオンにしたまま、その横で読書をするようなものだ」。だからこそ、メンタル的なサポートの必要性も高まっているというのは間違いなく言えるわけですけど。

勇気とか希望とか、そんなもの自分で作り出せば良いじゃない?思ったりもしますが、それを簡単には出来ないから、あてにもしたくなるというところでしょうか。限界に挑戦する姿が感動を呼ぶとか、明日への活力を生むとか、まぁ理解は出来なくはないですが、それだけで終わってしまうと、いわゆる「偽りの希望症候群」のような状態です。

その後の継続的な行動と望ましい結果に繋げるには

・計画を立て

・仲間を集めて

・実行する

というステップが必要と言われています。もし今、感動のエネルギーが漲っているなら、早めに新しいことを始めてみてはいかがでしょう?そこで新しい出会いがあれば、3日坊主に終わらない、新しい持続的な習慣の形成にも繋がりやすいはずですので。

2021年7月

今回は、優秀なトレーナーになるための条件について、少し考えてみようと思います。

色々な条件が考えられる中で、やはり、「効果的なトレーニング」を提供できること。当たり前と言われそうですが、これは欠かせません。

では、「効果的なトレーニング」を提供するために必要な要素は何かと言うと―もちろん、これも色々と考えられるわけですが―「見立ての能力」は、その一つだと思います。今の状態を見抜いて、課題の勘所を押さえる能力と言えば、分かりやすいでしょうか。

ちなみに、どんな種類の能力を高めるトレーニングであれ、きちんとしたトレーニングに取り組めば(それを見分けられるかどうかの問題は、また別にありますが)、何らかの改善は必ず起こります。でも、効果を発揮しやすいタイミングはあるので、それを正確に見出せる人=「見立ての能力」の高い人が、「効果的なトレーニング」を提供できる、優秀なトレーナーに近い存在であろうということです。

状態も分からずに実践するのは、不案内な道を歩くようなもので、間違っているとは思わないけど、確信を持てるほどでもない…。それでは、自信を持って前に進む(トレーニングに集中する)のは難しいでしょうからね。

 メンタルウェルネストレーニング協会が提供する「見立ての道具」は、エゴグラムと脳波ですが、ビジョントレーニングの講座では、ビジョンチェックや姿勢チェックを始めとした、見極めるための“道具”も紹介しています。

実践経験を通じて、それらの“道具”に習熟すれば、トレーナーとしての総合力も自ずと上がり、優秀なトレーナーに一歩近づけるはずです。

2021年6月

今回は、お知らせが2つ。

① 今月6月1日~大阪・谷町に「ウェルネストレーニング教室・谷町校」を開設しました。メンタルウェルネストレーニング協会が2021年度から始めた、フランチャイズシステムの直営教室です。

一般の皆様からの開設希望も受け付けているため、これから各地に増えていくと思いますが、メンタルトレーニングとビジョントレーニングを通いながら学べる教室です。

脳のコンディショニング・メンタル&ビジョン

ウェルネストレーニング教室

 ② アルファテック7のPCソフトウェア(マインドセンサー7)をアップデートしました。

 

 マインドセンサー7(Ver.2.8.25)

https://nouhasokutei.jp/soft.html

大幅な変更ではありませんが、ブレインビルダーとアルファテック4/4s/5ユーザーの皆様にはおなじみの、優勢脳波の構成比率を表す円グラフを加えました。過去の機種に慣れ親しんだ方であれば、受け入れやすさがアップするはずですので、これを機にアルファテック7の導入を検討して頂けると嬉しい限りです。

 また、旧装置(アルファテック/ブレインビルダーユニット)の下取りサービスも実施していますので、併せてご利用ください。

下取りサービス

https://nouhasokutei.jp/trade-in/

光陰矢の如し。時間は有限。先の見えない状況が続いていますが、かといって、いつまで待てば良いかも分かりませんし、誰が守ってくれるわけでもありませんので、自分達が出来ることを、出来る限り進めていこうと思います

2021年5月

メンタルウェルネストレーニング協会で、ビジョントレーニングの指導者講座を担当している、岸浩児先生の初の著書が刊行されました。なお、学校法人様向けの献本も実施しておりますので、ご興味をお持ちの方は、ぜひご一報ください。

● ちゃうねん。そうじゃないねん。目がうまく使えてなかっただけやねん!

https://www.mentaltrainingstore.jp/view/item/000000000298?category_page_id=vision-book

 

● 献本について

https://mentalwellness.jp/2021/03/31/book-info/

トレーニング法などのノウハウは最小限にして、ビジョンの問題が増えてきた最大の要因は、環境の変化によるところが大きいはずですから、その辺りのことをきちんと理解して頂きたいという主旨で書かれています。

私の子供の頃を思い出しても、1人で、あるいは友達と、テレビゲームで遊んだ記憶もたくさんありますが、それと同時に、外で走り回って遊んだ多くの間も楽しい記憶として残っています。

今は、公園などの施設でさえ、子供の遊び場というより、高齢者の憩いの場という方が相応しい状態で、これでは、外で遊ぼうにも大人しくゲームでもするしかないような環境が増えてしまいました。そこに、コロナウイルスの蔓延が拍車をかけて、ますます多くの子供が、家の中の、限られた人間関係の中で、多くの時間を過ごすようになっています。

子供の発達にとっては、内発的な欲求にもとづく身体運動が不可欠ですが、“便利な”道具の開発も含めて、その機会を奪うような環境に溢れているのが現代社会です。短期的に見ても長期的に見ても、子供にとって過酷と言えるこの状況の中で、何をどう考えて子供と接すれば良いのか。そのヒントが詰まった本書を、多くの方に手に取って頂きたいと思います。

2021年4月

新年度を迎えて、皆様いかがお過ごしでしょうか?コロナの影響は変わらず、イベントの自粛も続いていますが、それでも、昨年ほどの警戒感はないように思います。

さて、2020年の日本国内における死者数が、前年と比べて約9千人減少したという報道がありました。日本が世界トップクラスの高齢化社会であることを考えると、これは驚くべき数字で、実際のところ、減少したのは11年振りだそうです。なお、近年の死者数は、年平均2万人程度で増加していました。

今のところは途中経過しか分かりませんが、肺炎(新型コロナなどを除く)やインフルエンザを含めた呼吸器系疾患が最大の減少幅を示していたという事実は、新型コロナの感染対策として日常化した、手洗い、うがい、手指消毒などの励行が効果を発揮した結果かも知れません。なんか、当たり前の行動が、当たり前に重要であることを、あらためて教えられただけという気もしますが。

その一方、自殺者数が11年ぶりに増加しました。特に、小中高生の自殺が過去最多で、原因・動機としては、うつ病などの精神疾患、進路の悩み、学業不振が多いとされています。今やオンライン授業も当たり前になり、その環境にも、だいぶ慣れてきたところだと思いますが、それでも、学業に支障が出た学生や、孤独感などを味わった学生が多数いたということでしょう。また、これは一部の報道に止まっていますが、DV(虐待)の問題も大きいのではないかという指摘があります(女性の自殺者数の増加にも影響を与えた可能性が考えられます)。

行動の自由を奪われてストレスを抱える人が増え、そういう人達が閉鎖空間で時間を共有すれば、極端な行為に対する抑止力が働きにくくなります。AIが普及すると、仕事をせずとも収入を得られるようになり、自分の趣味や家族との時間に、もっと多くの時間を使える…というパラダイスのような未来が語られることもありますが、こういう現実を突き付けられると、そんな単純な話ではないようにも思います(仕事をしなくても良くなったとして、その時間を何に使いますか?それは、数十年続けられることですか?)。

昨年よりは幾分緩和されるのかも知れませんが、コロナの影響は今後も年単位で続く可能性があるため、子供に対するケアはもちろん、大人に対するケアも、今一度、重要な課題として捉える必要がありそうです。

2021年3月

色々なメンタルトレーナーを観察していると、得意とする(もしくは興味がある)手法に、少なくとも2つのタイプがあるように思います。1つは、モチベーションアップを得意とするタイプ(もしくはモチベーションアップに興味があるタイプ)、もう1つは、メンタルトレーニングを得意とするタイプ(もしくはメンタルトレーニングに興味があるタイプ)。

メンタルトレーナーというのは基本的に“自称”なので、メンタルをトレーニングしなくても(出来なくても)メンタルトレーナーと名乗ることは可能であるという前提で、この先の話を進めていきます。

モチベーションアップを得意とするトレーナーは、メンタルのトレーニングをするというよりも、会話を通じて心に栄養を与え、その気にさせて結果を出させる。メンタルを強くするよりも、元気づける(勇気づける)ことに注力するタイプ。

メンタルトレーニングを得意とするトレーナーは、会話よりも、メカニズムの追及に注力しながら、具体的な対策を講じて結果に繋げる。メンタルが強くなった理由を、後から説明できるように指導する(したい)タイプ。

念のために申し上げておくと、どちらかに優劣をつけたいわけではありません。私の場合は、メンタルトレーニングに興味があるため、モチベーションアップが上手なトレーナーを見ていると、多少は嫉妬する時もあります(でも同時に、そうはなれないことも確認できます)。

ここで言いたいのは、クライアントとしてメンタルトレーニングの指導を受ける場合、あるいは、トレーナーを目指してメンタルトレーニングの指導を受ける場合、目の前の指導者が、どちらのタイプなのかを見極めるのが大切ということ。そして、その前提として、自分が、どちらを求めているのかを理解しておくのが大切ということ。そこが曖昧なままだと、なんとなく合わないな~などと感じたまま、メンタルトレーニングの効果を十分に感じられずに終わってしまう場合もあります。

もちろん、どちらにも対応可能な一流のトレーナーもいらっしゃいますが、あくまでも“自称”が基本である以上、そういうプロフェッショナルばかりではありませんし、トレーナーも人間である以上、得意な方に寄せていってしまう傾向はあるというのが私の見解です。

付け加えておくと、思考の整理、感情の整理などの徹底的な整理を通じて、エネルギーの効率的な集中投下に導いたり、本人の気づきを促したり、別の尺度で分類すべきトレーニング(トレーナーのタイプ)も色々とありますが、その辺りについては、また別の機会で。

2021年2月

なかなか落ち着かない日常ですが、私の周りでは、この生活に慣れたという声もチラホラ聞こえてきます。それが良いことなのかどうか分かりませんが、以前のような不安な気持ちで過ごす人は、だいぶ少なくなっているのかも知れません。

コロナウイルスに限らず、油断をすれば、風邪をひいたり、インフルエンザに罹ったり、体調を崩す可能性が高まりますから、対策を怠らないことは大切です。ただ、警戒しすぎたり、心配しすぎたりすること自体が悪い意味でのストレスになり、免疫力の低下をもたらすことも考えられます。また、「正しく恐れる」という、何となく意味ありげな言葉も、要するに、きちんと対策をしようということだと思いますので、無理に恐れる必要はないでしょう。 一部の地域に発令されている緊急事態宣言も、きっと効果はあるのだろうと思いますが、不安な気持ちが、もうそろそろいい加減にして欲しいという気持ちに変われば、免疫力や抵抗力にも、いくらか変化が起こるのか起こらないのか。いずれにしても、思い方が大事というのはメンタルウェルネストレーニングの基本の基であり、こういう時だからこそ、きちんと習慣化させておいて、この状況が明けた後でも、当たり前の日常として取り組めるように準備しておくと良いと思います。