人々が幸せになるために必要なことは何であろうか?
…苦しみを取り除くことであろう。
では、苦しみとは何であろうか?
…貧困と病気と戦争であろう。
では、貧困と病気と戦争を取り除けば幸せになれるのであろうか?
…そう仮説を立て、その克服を目指していこう。
どうすれば幸せになれるのかなんて、そんなの人によってマチマチ、だから考えても意味がない…と開き直るのも、また個人の自由ですが、それでは話が前に進みませんよね。そこで、とにかく貧困と病気と戦争をなくせば幸せになれる(少なくとも可能性が高まる)と仮説を立て、その克服に取り組んできたのが近代の歴史でもあったわけです。
その結果、貧困と病気と戦争を除けば、幸福度が上がることは確認されました。しかし一方で、その効果が一定の範囲に止まることも明らかになっています。
世界幸福度調査の構成要素
① 個人所得(1人当たりGDP)
② 困った時に助けてくれる(頼れる)人がいるかどうか
③ 健康(平均寿命)
④ 自分の人生を自由に選べる(という感覚がある)かどうか
②はソーシャルキャピタル(社会関係資本)にも含まれる、幸福度の必須要素ですが、①は貧困、③は病気と関連した客観指標で、少し前までは、①③を数値化して高めることに人類の英知を結集してきました。そうすれば、幸せになれる(はず)と信じて。
その結果、どうでしょう。①③に関して、それなりの成果を残してきた国が、果たして幸福度も高い国になったと言えるでしょうか(例えば日本はどうでしょうか)。
一方、④は主観的な項目に分類され、今では、こちらを実感できる方が(そのための環境を整える方が)幸福度の向上に直結すると考えられています。そうした流れの中で、ダイバーシティ(多様性)&インクルージョン(包摂)などの概念も広く受け入れられるようになってきたわけですね。
さて、感染症(コロナ)は③に影響します。そして、戦争は④、あるいは、その災厄を通じて②にも影響を与えるでしょう。 2020年代に入り、人類が克服済みと思われていたパンデミックが再来、それが落ち着きつつあるところで、もう一つの事態が深刻化しようとしている現状です。主観的満足を追求できる自由こそ、人生における最も大切な価値と私は信じているため、それを奪う行為は到底許されるものではないはず。これ以上、戦況が拡大しないことを切に祈ります。