メンタルトレーナー

2021年3月

色々なメンタルトレーナーを観察していると、得意とする(もしくは興味がある)手法に、少なくとも2つのタイプがあるように思います。1つは、モチベーションアップを得意とするタイプ(もしくはモチベーションアップに興味があるタイプ)、もう1つは、メンタルトレーニングを得意とするタイプ(もしくはメンタルトレーニングに興味があるタイプ)。

メンタルトレーナーというのは基本的に“自称”なので、メンタルをトレーニングしなくても(出来なくても)メンタルトレーナーと名乗ることは可能であるという前提で、この先の話を進めていきます。

モチベーションアップを得意とするトレーナーは、メンタルのトレーニングをするというよりも、会話を通じて心に栄養を与え、その気にさせて結果を出させる。メンタルを強くするよりも、元気づける(勇気づける)ことに注力するタイプ。

メンタルトレーニングを得意とするトレーナーは、会話よりも、メカニズムの追及に注力しながら、具体的な対策を講じて結果に繋げる。メンタルが強くなった理由を、後から説明できるように指導する(したい)タイプ。

念のために申し上げておくと、どちらかに優劣をつけたいわけではありません。私の場合は、メンタルトレーニングに興味があるため、モチベーションアップが上手なトレーナーを見ていると、多少は嫉妬する時もあります(でも同時に、そうはなれないことも確認できます)。

ここで言いたいのは、クライアントとしてメンタルトレーニングの指導を受ける場合、あるいは、トレーナーを目指してメンタルトレーニングの指導を受ける場合、目の前の指導者が、どちらのタイプなのかを見極めるのが大切ということ。そして、その前提として、自分が、どちらを求めているのかを理解しておくのが大切ということ。そこが曖昧なままだと、なんとなく合わないな~などと感じたまま、メンタルトレーニングの効果を十分に感じられずに終わってしまう場合もあります。

もちろん、どちらにも対応可能な一流のトレーナーもいらっしゃいますが、あくまでも“自称”が基本である以上、そういうプロフェッショナルばかりではありませんし、トレーナーも人間である以上、得意な方に寄せていってしまう傾向はあるというのが私の見解です。

付け加えておくと、思考の整理、感情の整理などの徹底的な整理を通じて、エネルギーの効率的な集中投下に導いたり、本人の気づきを促したり、別の尺度で分類すべきトレーニング(トレーナーのタイプ)も色々とありますが、その辺りについては、また別の機会で。

2018年7月

サッカーワールドカップ2018、日本代表の挑戦が終わりました。

頂点を目指す戦いは、これから佳境を迎えますが、大会開幕以来どこにいっても日本代表の話を耳にする機会が多く、こうやってアレコレ会話をすることが理屈抜きに楽しいんだろうなと感じていました。

ちなみに、今回の日本代表チームには、メンタルトレーナーと呼べるような心理面の専門家がいなかったそうです(選手個々が契約しているトレーナーはいたようですが)。日本の他の競技団体についても似たり寄ったりで、海外と比較した場合、日本のスポーツ界には“メンタル”を重視する(きちんとした指導者の下でメンタルをトレーニングする)発想が弱いため、そういう態度が、ひょっとすると昨今の指導現場におけるトラブルとも通底しているのかなとか。ま、これはかなりバイアスのかかった意見だと思いますが。

能力が最大限に発揮されて、しかも成長を促すために必要なメンタル面の要素は、積極的な態度で楽しむことですから、その辺りの理解が浸透すると、選手にとっても指導者にとっても、今は欠けているピースの一つが見つかるのかも知れません。