2022年8月

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現在、MWT協会の機関誌を製作している最中ですが、私も毎回2~3の記事を担当していて、その過程で不採用にする文章が、いくつかあります。普段は、そのまま削除して終わるのですが、ちょうどメルマガを書く時期と重なったため、その中からネタを1つ転用しようと思います。

参考文献は「予測不能の時代」(著者:矢野和男)

テーマは、エントロピー増大の法則と不平等の拡大。

エントロピー増大の法則(熱力学第2法則)については、大学時代に履修した「論理学」という結構マイナーな授業でも扱っていた記憶があるのですが、自然法則としては基本中の基本。ちなみに、熱力学第1法則は、ご存じ「エネルギー保存の法則」です。

授業で学んだ時は、エントロピーに「乱雑さ」とか「無秩序さ」という日本語を充てて、エネルギーが低い状態に向かい「乱雑さ」を増して行く現象とか、そのような説明を受けました。水は低きに流れるとか、暑いと氷は解ける、寒いと水は凍るとか、そんな感じのことをイメージすれば分かりやすいでしょうか。

この現象は森羅万象に当てはまります。当然、人体もエントロピーが増大するわけですから、時間が経つにつれて乱雑さが増し、老化が進み、その最終形として「死」に至るというわけ。より具体的には、細胞の境目が曖昧になるという意味での乱雑さが「老化」を表しているらしいですが。

さて、エントロピー増大の法則をシミュレーションするために、平等な状態から始めて、平等な確率で行われる取引を繰り返すと、最終的には不平等になる、つまり格差が生じるのだそうです。なぜなら、乱雑さとは、ばらつき=多様性がある状態のことで、多様性がある=違いがあるということで、違いがある=格差があるということだから。

もう気が付かれた方もいらっしゃるかも知れませんが、乱雑さとは、言い換えると“自然な”状態のことです。よって、先のシミュレーションにおける“平等”とは、本質的に不自然な状態であり、(多様性を認めることも認めないことも含めた)多様性こそ、自然が進む本来の方向性である、ゆえに格差が生じるというわけですね。

裏返すと、平等(が良いか悪いかの議論はさておき)のような“作られた”状態が維持されるのは(身に付くのは)、意図的な働きかけの結果ということも表しているのだと思います。

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