2023年も、多くの方が脳波測定の体験にお越しくださいました。グループ企業である(株)脳力開発研究所が開発・販売しているアルファテック7を使い、およそ1時間の中で、説明や質疑応答などをおこないます。ご興味がある方は↓よりお申し込みください。
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これまで、このエッセイの中でも、脳波を測ると分かることについて色々と紹介して来ましたが、ある分野のエキスパートと初心者(非エキスパート)では脳の使い方が異なるというのも、そのうちの一つです。例えば、同じ作業をしていても、エキスパートの方が圧倒的に速いというようなことは、皆様にも経験があると思います。では、圧倒的に速い=それだけ脳も激しく活動していると言えるのでしょうか?
エキスパートと初心者が同じことをしていて、ある程度の時間が経過した後、疲労を感じやすいのは、どちらでしょう?おそらく、初心者ではないでしょうか?疲労を感じやすいのは、脳波の周波数も電圧も高く、基本的には脳が激しく活動している時です。そして、ここには「意識的」な情報処理が関わると考えられています。
エキスパートと初心者では、同じ作業をするにしても、意識で処理する情報量が圧倒的に異なります。「意識下」で処理するエキスパート(豊富な経験に基づく長期記憶があるため)と、「意識」で処理する初心者(経験に基づく長期記憶がないため)の違いですが、当然のこととして、意識で処理する情報量が増えるほど多くのエネルギーを使うことになり、結果として、周波数も電圧も上がりやすく、疲労も感じやすくなります(スピードも落ちます)。
このような結果を示す事例は数多く存在しますが、私が計測したものの一つは、演奏時における、プロのミュージシャンと、その生徒の違いでした。プロの方は、ミッドアルファ波を中心に電圧は低め、つまり静かな状態でしたが、生徒は、ミッドアルファ波にファストアルファ波とベータ波が混ざる状態で電圧も高め、いかにも一生懸命演奏している状態を表していました。言うまでもなく、演奏そのものはプロの方が心地よかったわけですが。
これは、演奏に限らず、あらゆる作業に当てはまることであり、本番で能力を存分に発揮できない方は、このあたりの脳の使い方に課題があるのかも知れません。したがって、技術的な練習はもちろんのこと、その成果を最大限に発揮したいのであれば、脳波を指標に脳の使い方を練習することも対策の一つだと思います。そして、そのための方法を体系的に学べるプログラムが「メンタルウェルネストレーニング」です。