メンタルウェルネストレーニング

2024年1月

明けましておめでとうございます。

2024年は、年明けから大きな災害や事故が続いているため、被害に遭われた方々へお見舞いを申し上げるとともに、これ以上は被害が拡大しないことと、1日も早い復旧を祈るばかりです。

このエッセイでは、今年も脳波とメンタルトレーニングを主に話題を提供して参ります。

脳波の観点から整理すると、メンタルトレーニングとは、10Hzを含めたミッドアルファ波の状態を作るメソッドと言うことが出来ます。もちろん、脳波はアナログの生体信号であるため、ミッドアルファ波が強くなれば、その周辺の周波数(アルファ波全体)も強くなりますが、あくまでも中心はミッドアルファ波にあるということです。よって、メンタルトレーニングは、「実力発揮」と「(自己暗示を伴う)イメージトレーニング」に有効と考えることが出来ます(この辺りの詳細は、メンタルウェルネストレーニング指導者資格認定講座の中で説明しています)。

一方、よくご質問をいただく7.8Hzを強める方法ですが、メンタルトレーニング単独では難しいだろうというのが個人的な見解です。また、7.8Hzを強めたいという意識が、むしろ7.8Hzへの変化を阻害するように思います。

では、何をすれば良いのか?

あくまでも私見として、その答えの一つは「瞑想」だと思います。

メンタルウェルネストレーニングの1級講座でも少し取り上げる内容ですが、瞑想の調心(心を整える)を通じて、智慧が湧くようになります。ここでの智慧とは、例えば、大円鏡智、平等性智、妙観察智、成所作智の4つのことです。

大円鏡智:心は鏡のようなものであり、雑念、妄想、感情のような塵や埃を払えば、鏡=心がきれいになり、すべてのものを「ありのまま」捉えられるようになる。

平等性智:そうすると、物事を自分に都合よく見るのではなく、平等に見ることが出来るようになる。

妙観察智:そして、物事を精妙に観察できるようになる。

成所作智:その結果、為すべきことを成し遂げるための知恵が生まれる。

ここまでが、集中瞑想→観察瞑想(10Hz)。

また、智慧は、慈悲の心として具現化されると言われ、それが4つの慈悲の心=四無量心です。

慈:他者に対する思いやりの心。

悲:他者の悲しみや苦しみを感じ、取り除いてあげたいと思う心。

喜:他者の喜びを、ともに喜ぶ心。

捨:何事にも偏らず、平等・平静である心。

これが、慈悲と慈愛の瞑想(10Hz→7.8Hz)。MWT的には「よかった、ありがとう」ですね。

自己を管理する限りは10Hz(ミッドアルファ波)であり、それは決して悪いことではありませんが、仮に7.8Hzを目指すのであれば(“目指す”というのも矛盾を含む表現ですが)、その執着から離れる必要があるでしょう。

2024年1月~(株)脳力開発研究所の本社が、東京・目白に移転しました。JR山手線の目白駅から徒歩10分ほどの場所です。近くに来られた際は、ぜひお立ち寄りください。

本年もよろしくお願い申し上げます。

2023年4月

2023年度~メンタルウェルネストレーニング(MWT)協会の会長を引き継ぐことになりました。

そして、これまで私が務めて来た副会長には、ビジョントレーニング推進委員会委員長の岸浩児と、同委員でウェルネストレーニング教室大阪・谷町校教室長の北川健太が新たに就任します。また、前会長の志賀一雅には、相談役として今後も協会の活動をサポートしてもらいます。

これまで皆様から頂戴した、ひとかたならぬご支援に心から感謝を申し上げるとともに、新たな体制に変わるMWT協会も、何卒よろしくお願い申し上げます。

さて、2023年はスポーツのビッグイベントが目白押しのようで、既に、日本の若い世代の大活躍を目にした人も多いでしょう。そして、驚くべきは彼(女)らのコメント力の高さではないでしょうか。失言がないことはもちろんですが、謙虚さと相手への敬意を示しながら、物怖じせず当意即妙に受け答えする様子には、本当に時代が変わったことを実感させられます。

もちろん、そのための教育がきちんとなされていることも大きな理由の一つだとは思いますが、それでも、感情表現豊かに、自分だけではなく、仲間、関係者、観衆の気持ちさえも鼓舞する姿には、その競技を詳しく知らない人でも思わず魅了されてしまいますよね。

そうした選手の成長には、おそらく私と同世代の人達が多く関わっているはずであり、私達の世代は、その前の世代の影響を受けているはずです。連綿と受け継がれるものの先に各世代があるのは、時代も場所も分野も問わないことですので、先達に学びながら、その教えをどのように発展させて行くのか、そして、どのように次の世代に何を伝えて行くのか。これは、私達にとっても、常に念頭に置くべき課題であると認識しています。 1人の天才ではなく、多くの才能あふれる若者が誕生していることは、時代が変化している証と捉えて、私達も、その流れをしっかりと踏まえながら挑戦を続けて参ります。

2023年1月

明けましておめでとうございます。

2023年は、一般社団法人MWT協会(2013年~)が創業10周年、グループ企業である株式会社脳力開発研究所(1983年~)が創業40周年を迎える節目の年です。これまで支えてくださった皆様のお力添えに、この場を借りて心より感謝を申し上げます。

2023年2月26日(日)に、東京(東京ドームの間近)で周年記念の祝賀会を開催します。このエッセイをご覧の方はご参加可能ですので、よろしければお申し込みください。

http://www.alphacom.co.jp/event/20230226.html

社名に「脳力」という単語が使われている通り、脳力開発研究所は「脳」の「力」にこだわりながら活動を続けて参りました。「のうりょく」という音から連想する漢字は、「能力」が一般的かも知れませんが(ですからメールでも書類でも本当によく間違われますが)、その表現では「脳」に注目する意識が薄れてしまうと思います。

脳力開発研究所の創業者であり、MWT協会の会長でもある志賀一雅が、脳の、そして脳波の研究のために会社を設立するのであれば、漠然とした意味を持つ「能力」ではなく、脳波の計測結果をもとに、脳の力を発揮しやすいコンディションと、そのコンディションの作り方について研究していることを分かりやすく打ち出す「脳力」の方が、社名として相応しいであろうという判断でした。

今では何となく浸透している感のある「脳力」ですが、40年前は、まだ一般的ではなかったのでしょう。法務局で社名を登記しようとしたところ、すんなりとは受け付けてもらえなかったのだそうです。その状況を打破してくれたのが、夏目漱石の「吾輩は猫である」の中で「脳力」という表現が使われていた事実。よって、この社名が存在しているのは、漱石様の権威のおかげとも言えるのかも知れません。

さて、脳力を発揮しやすいコンディションの作り方をまとめたものが、メンタルウェルネストレーニング(MWT)ですから、MWTとして伝えている内容も、当然「脳力」発揮のための方法です。また、ビジョントレーニングも、「脳育」の一環として、やはり「脳力」を発揮するための方法と言えます。 生きている限り、脳の活動が止まることはありません。つまり、生きることは脳を使い続けることでもありますから、より良く脳を使うことは、より良く生きることに直結します。区切りの年となる2023年も、皆様の「脳力」発揮をサポート出来るように活動を続けて参ります。より一層のご愛顧を賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。

2021年2月

なかなか落ち着かない日常ですが、私の周りでは、この生活に慣れたという声もチラホラ聞こえてきます。それが良いことなのかどうか分かりませんが、以前のような不安な気持ちで過ごす人は、だいぶ少なくなっているのかも知れません。

コロナウイルスに限らず、油断をすれば、風邪をひいたり、インフルエンザに罹ったり、体調を崩す可能性が高まりますから、対策を怠らないことは大切です。ただ、警戒しすぎたり、心配しすぎたりすること自体が悪い意味でのストレスになり、免疫力の低下をもたらすことも考えられます。また、「正しく恐れる」という、何となく意味ありげな言葉も、要するに、きちんと対策をしようということだと思いますので、無理に恐れる必要はないでしょう。 一部の地域に発令されている緊急事態宣言も、きっと効果はあるのだろうと思いますが、不安な気持ちが、もうそろそろいい加減にして欲しいという気持ちに変われば、免疫力や抵抗力にも、いくらか変化が起こるのか起こらないのか。いずれにしても、思い方が大事というのはメンタルウェルネストレーニングの基本の基であり、こういう時だからこそ、きちんと習慣化させておいて、この状況が明けた後でも、当たり前の日常として取り組めるように準備しておくと良いと思います。

2020年8月

先日、沖縄を訪問しました。青い空と白い雲、青い海と白い砂浜、海が好きな私にとっては、とても贅沢な時間でした。

しかし、東京に戻った直後から、沖縄のコロナ感染が拡大し始めました。個人の力ではどうにもならないことを、憂えたり嘆いたりしても仕方がないのですが、観光が主要産業の地域であり、観光客が戻ってきたことを喜ぶ地元の方の声も耳にしていたため、とても残念でなりません。

いつまで続くか分からない非日常に搦め取られないためにも、こういう時だからこそ、日常のルーティンを地道に実践することが大事だと思います。MWTにおいては「思い方の練習」にあたりますが、起きて、食べて、寝てという、生きている限り繰り返される、この当たり前の日常に、今一度、心を向けましょう。

考え方によっては、何かに打ち込める時期でもあります。なかなか集中して取り組めなかったことがあれば、そのために時間を使うのも良いでしょうし、あるいは、アルファテック7を購入したけど、あまり使えていなかったという方がいらっしゃれば、じっくりと使い始めるタイミングかも知れません。

頭の中を整理して、今やるべきことを見極められると、少しは気持ちも晴れるはずです。

2020年7月

メンタルウェルネストレーニングでは、(メンタルのトレーニングという名称でありながら)メンタルというよりも脳をトレーニングします。脳育のような感じで、不安よりも期待、不満よりも満足をより強く感じられるように、期待感と満足感が高まりやすい脳を育てていきます。

不安や不満というと、何かしらストレスのような外的要因をもとに作られると思うかも知れませんが、はたしてそうなのでしょうか?例えば、同じ環境に身を置いても、不安を感じる人もいれば期待を感じる人もいる、不満を感じる人もいれば満足を感じる人もいるというように、私たちの感じ方は、私たちの脳がどう反応するかにかかっているのではないでしょうか?

自分の脳がどう反応するかは、これまでの経験(脳の使い方)に強く影響を受けています。そして、経験から強く影響を受ける=後天的な要素が大きく関わるということであり、そこから、日々のトレーニングによって、脳の使い方が変わる可能性も大いに残されているという考え方に繋がっていくわけです。

苦しい場面を乗り越えることでメンタルが鍛えられる―それはそれで一つの真実でしょう。そのためにも、では、どうすれば苦しい場面を乗り越えられるのか?乗り越えようとする気力が湧いてくるのか?

その原動力は未来への希望です。希望が実現することで、大いなる満足感を得られるという期待感が、行動へのエネルギーを生み出すのだと思います。

人の主体的な行動は、期待と満足が循環する時に発揮されやすくなります。その意味でも、メンタルウェルネストレーニングでは、期待感と満足感が高まりやすい脳の育成を目指しているのです。

2020年3月

食事、運動、睡眠と言われるように、身体を動かすことが健康に良いという話は、誰でも耳にしたことがあると思います。それが本当かどうか、1953年に報告された、モーリス博士によるロンドンの2階建てバスの運転手と車掌を比較した研究を紹介しましょう。

運転手は、運転をすることが第一の仕事であり、必然的に着席している時間が長くなります。一方、車掌は、(当時は)車内で切符を売る仕事があったため、1階と2階を行き来することが多くなります。その違いが心臓発作と心臓病による死亡率に、どう影響するかを調べたのが、この研究ですが、結果は…

運転手の方が、死亡率が高く(心臓発作は約1.4倍/心臓病は約2.2倍)、特に55歳以降で、その違いが顕著になりました。ちなみに、35歳~64歳を対象として、10歳ごとにグループ分けをした結果だそうです。

その違いの大きな原因は、運転手の運動不足にあり、よって、運動不足では心臓の病気(特に肥満から循環器系の疾患)になりやすい。しかも、年齢が上がるほど、その影響は大きくなると、ひとまず結論づけられています。とはいえ、この場合の主な運動とは階段の上り下りのことですから(それなりに疲れますけど)、普段の生活の中でマメに身体を動かすのは大事だよね、くらいの話なのだと思います。「動」く生き「物」の宿命として。

ただ、何でもそうなのでしょうけど、嫌々、我慢して、無理に運動しているようでは、かえってストレスから不健康になることもありそうです。やはり、何をするにしても基本は「期待感」と「満足感」であり、好きなことを気持ちよくやるのに勝る健康法はないと思います。そして、「期待感」と「満足感」の感じやすさはトレーニングで鍛えられる脳力(脳の働き)ですから、きちんと訓練すれば、誰でも、その感度を高めることが出来ます。

もし、楽しいことが見つからないのだとすれば、それは、本当に楽しいことがないのではなく、楽しいと感じられる自分がいないだけかも知れません。ちなみに、ワクワク、夢中になっている時の脳波ではα波が増えることも確認済みです。 「期待感」と「満足感」の感度を高めるためにも、メンタルウェルネストレーニングを実践して、心身ともに健康な毎日を過ごせるようになりましょう。

2019年10月

脳力(脳の働き)と言われた時、何を思い浮かべるでしょうか。

ざっと検索してみると、記憶力、判断力、思考力、創造力、学習能力など、まぁだいたいそんな感じかなという言葉で説明されることが多いようです。

脳波研究にもとづくメンタルウェルネストレーニング(MWT)では

① ケガや病気を防ぐ、あるいは回復させる

② 能力発揮態勢を作る(ここに上記の“○○力”が含まれる)

③ 危険から身を守る

以上の3項目に注目したトレーニング法を紹介しています。

そして、上記①~③は、それぞれ特定の脳波と結び付く傾向が強いため、MWTと脳波のフィードバックトレーニング(ニューロフィードバックトレーニング)を組み合わせると、具体的に変化を確認しながらトレーニングに励むことが出来るという仕組みです。

肉体的成長 → 精神的成長 → 知的成長 → 創造的成長

成長にともない求める価値が変わるため、その価値を実現するための意識と無意識が期待感や満足感を作り、自発的な活動を生み出す原動力になります。

したがって、喜びや満足を求めて素直に行動すれば、価値ある人生を送れる上に、心と身体の健康も手に入れられる…はずですが、そこに、ままならない歪が生じているのが現代なのかと思います。 トレーニングを通じて、脳に備わる本来の機能を発揮させること。その結果として、一人ひとりの幸福に貢献すること。これが、MWT協会の活動を通じて実現したいことです。

2019年9月

前回のエントリーでは、脳力(脳の働き)には、生まれ付きの部分と身に付けていく部分があり、脳の使い方に属する後者はトレーニング(経験)次第である。そして、そのためのトレーニング法をまとめたものが、メンタルウェルネストレーニング(MWT)であるという話をしました。今回は、そのMWTのエッセンスを少し紹介しようと思います。

MWTで目指していることは、期待感と満足感の反射形成です。

普段、期待感と満足感を感じるのは、どのような時でしょうか。おそらく、楽しみにしていることがあったり、楽しいと思えることがあったりというように、具体的な出来事に対する応答として感じることが多いのではないでしょうか。

もちろん、そのような反応としてでも、きちんと期待感と満足感を感じられるのであれば、それはそれで良いことだと思います。

ただし、具体的な「何か」を拠り所としているばかりだと、その「何か」があるから期待感と満足感を感じられる、視点を変えると、「何か」に主導権を握られていることになり、自分自身の脳力としては少し頼りなくも感じられます。

そこで、主導権を取り戻す意味でも、日常生活の中にトレーニングを取り入れて、期待感と満足感に対する感度を高めることからMWTはスタートします。

このトレーニングを継続していくと、やがて期待感と満足感が先行するようになり、身の回りで起こる多くの出来事がワクワク、イキイキ、理屈を超えてポジティブな日々に変わり始めます。

プラス(ポジティブ)に考える理由、マイナス(ネガティブ)に考える理由、色々あるとしても、それらはきっと後付けであって、実際には、脳がそう反応したことに対する、理性が下した受け入れやすい回答に過ぎないのではないかと個人的には思います。 そして、期待感と満足感が先行する状態で日々を送っている人の脳波を計測すると、「アルファ波」が多いというのが、よくある傾向です。脳の働きと心身のコンディションには強い相関があるため、脳と心身を併せた、総合的なアプローチによるトレーニングが大事ということを表しているのだと思います。

2019年6月

「人生には二度の誕生がある」

一度目は、この世に生を受けた時

二度目は、脳の働きに目を向け

それを積極的に活用しようと思った時。

二度目の誕生に足を踏み出すことは

新たな人生を歩み始めることです。

これは、メンタルウェルネストレーニング協会会長・志賀一雅の言葉ですが、ここには、人生は、一度目の誕生で決まるものではなく、自分次第で何度でも生まれ変わることが出来る。だから、一人ひとりの価値ある人生を着実に歩んでいって欲しいという思いが込められています。

では、価値ある人生への必要十分条件とは?

この問いに対する答えは、次回のエントリーで書く予定です。