住友 大我

2020年7月

メンタルウェルネストレーニングでは、(メンタルのトレーニングという名称でありながら)メンタルというよりも脳をトレーニングします。脳育のような感じで、不安よりも期待、不満よりも満足をより強く感じられるように、期待感と満足感が高まりやすい脳を育てていきます。

不安や不満というと、何かしらストレスのような外的要因をもとに作られると思うかも知れませんが、はたしてそうなのでしょうか?例えば、同じ環境に身を置いても、不安を感じる人もいれば期待を感じる人もいる、不満を感じる人もいれば満足を感じる人もいるというように、私たちの感じ方は、私たちの脳がどう反応するかにかかっているのではないでしょうか?

自分の脳がどう反応するかは、これまでの経験(脳の使い方)に強く影響を受けています。そして、経験から強く影響を受ける=後天的な要素が大きく関わるということであり、そこから、日々のトレーニングによって、脳の使い方が変わる可能性も大いに残されているという考え方に繋がっていくわけです。

苦しい場面を乗り越えることでメンタルが鍛えられる―それはそれで一つの真実でしょう。そのためにも、では、どうすれば苦しい場面を乗り越えられるのか?乗り越えようとする気力が湧いてくるのか?

その原動力は未来への希望です。希望が実現することで、大いなる満足感を得られるという期待感が、行動へのエネルギーを生み出すのだと思います。

人の主体的な行動は、期待と満足が循環する時に発揮されやすくなります。その意味でも、メンタルウェルネストレーニングでは、期待感と満足感が高まりやすい脳の育成を目指しているのです。

2020年6月

コロナウイルスの感染も一段落と言えるのかどうか、少しずつ日常が戻りつつあるようですが、これまでお伝えしてきた通り、メンタルトレーニングで自己免疫力を高めることは、自分のためにも、自分と関わる人のためにも、この先も続けて頂きたいと思います。

ここからは宣伝です。

5/22(金)~、その後は隔週金曜日の13時~、「レモンさんのビタミンラジオ局」というFacebook内のラジオ局で、番組名「HARMANS. Radio」を担当することになりました。13時~というのは、配信開始が13時~ということですが、月額888円の有料会員にお申し込み頂くと、他のパーソナリティの方の過去の放送分を含めて、全番組を視聴可能です。

5/22の初回放送は無料配信しています。

https://www.facebook.com/groups/free.vitamin/?post_id=2644727899146342

◉ レモンさんのビタミンラジオ局 オフィシャルサイト

https://vitamin-radio.com/

◉ レモンさんオフィシャルサイト

http://lemonsan.com/

約40名のパーソナリティの皆様がいらっしゃるようで(2020年6月時点)、私は、一応メンタルトレーナーという立場で約30分間しゃべっています。 かれこれ15年担当している学校の授業や、メンタルウェルネストレーニング協会主催の講座では、資料をもとに話をするのが私のスタイルではありますが、この番組に関しては、あまり細かいことを決めず、しゃべりながらまとめていこうかなと考えています。もしよろしければ、耳を傾けてみてください!

2020年5月

GWが過ぎた今も、緊急事態宣言は解除されず、この生活が今月末まで続くことになるのかも知れません。

MWT協会の東京事務所がある五反田も、東京2020を目途に建設したと思われる駅直結の商業施設兼ホテルがあるのですが、その商業施設側が、開業、即臨時休業(ホテルは一応営業しているようですが、ほぼ開店休業状態)。そして、同時に改装工事を行っていた駅ビルは、新装オープン予定日を過ぎた今も休業中です。

これだけ世界中にウイルスが蔓延した以上、既に完全撲滅は難しいと思われる中、今は感染拡大そのものよりも、それにともなう医療崩壊を食い止めることが喫緊の課題というところでしょうか。どちらにしても、三密(密閉・密集・密接)を避けることに加えて、自分の免疫力を低下させないこと、更には高めておくことも重要と言えます。

ごく基本的なこととして、心理的ストレスは免疫力を低下させます。つまり、不安や不満という意識が強まれば、心理的に苦しむだけではなく、病原体に対する生体の抵抗力も低下してしまうのです。 ウイルスとの共生は、人類が受け入れていかなければいけない現実的課題です。私たちに出来ることの一つは、自己免疫力を高めることであり、それは、メンタルトレーニングに課せられた大切な役割でもあると思います。

2020年4月

新型コロナウイルスの感染拡大を受けて、緊急事態宣言が発令されることになりました。働き方改革の議論が遠い過去のことに感じられるくらい、ガラリと働き方が変わった方も多くいらっしゃると思います。100年に一度といわれる今回の感染症が、社会の仕組みも大きく変えた出来事として、歴史に刻まれることになるのかも知れません。

このような状況では、自由に移動できず友人にも会いづらい、いつまで続くか分からないから計画も立てづらいなど、気を紛らわすことも難しくなってしまいますが、こういう時だからこそ、GCN瞑想に参加して心の繋がりと平安を感じてみてはいかがでしょうか。

http://gcn.alphacom.co.jp/

また、YouTubeのメンタルウェルネストレーニング協会チャンネルでは、メンタルトレーニングの音源も公開しています。テレワークの合間などに、気分転換や休憩も兼ねて実践してみてください。

https://www.youtube.com/channel/UCkhUqp-CeMZMoyVB_xVcojw

不安やストレスを引きずれば、その意識の矛先は自分に向いてしまいます。感染拡大を抑えるための正しい対策を取ることは、もちろん大事ですが、自分の気持ちもきちんと慰撫しながら、いつか必ず落ち着く時がくる今の状況を乗り越えていきましょう。

2020年3月

食事、運動、睡眠と言われるように、身体を動かすことが健康に良いという話は、誰でも耳にしたことがあると思います。それが本当かどうか、1953年に報告された、モーリス博士によるロンドンの2階建てバスの運転手と車掌を比較した研究を紹介しましょう。

運転手は、運転をすることが第一の仕事であり、必然的に着席している時間が長くなります。一方、車掌は、(当時は)車内で切符を売る仕事があったため、1階と2階を行き来することが多くなります。その違いが心臓発作と心臓病による死亡率に、どう影響するかを調べたのが、この研究ですが、結果は…

運転手の方が、死亡率が高く(心臓発作は約1.4倍/心臓病は約2.2倍)、特に55歳以降で、その違いが顕著になりました。ちなみに、35歳~64歳を対象として、10歳ごとにグループ分けをした結果だそうです。

その違いの大きな原因は、運転手の運動不足にあり、よって、運動不足では心臓の病気(特に肥満から循環器系の疾患)になりやすい。しかも、年齢が上がるほど、その影響は大きくなると、ひとまず結論づけられています。とはいえ、この場合の主な運動とは階段の上り下りのことですから(それなりに疲れますけど)、普段の生活の中でマメに身体を動かすのは大事だよね、くらいの話なのだと思います。「動」く生き「物」の宿命として。

ただ、何でもそうなのでしょうけど、嫌々、我慢して、無理に運動しているようでは、かえってストレスから不健康になることもありそうです。やはり、何をするにしても基本は「期待感」と「満足感」であり、好きなことを気持ちよくやるのに勝る健康法はないと思います。そして、「期待感」と「満足感」の感じやすさはトレーニングで鍛えられる脳力(脳の働き)ですから、きちんと訓練すれば、誰でも、その感度を高めることが出来ます。

もし、楽しいことが見つからないのだとすれば、それは、本当に楽しいことがないのではなく、楽しいと感じられる自分がいないだけかも知れません。ちなみに、ワクワク、夢中になっている時の脳波ではα波が増えることも確認済みです。 「期待感」と「満足感」の感度を高めるためにも、メンタルウェルネストレーニングを実践して、心身ともに健康な毎日を過ごせるようになりましょう。

2020年2月

ゾーン、フローと呼ばれる状態があります。簡単に言うと、時間を忘れて行為に没頭している“超集中状態”で、能力を最大限に発揮できる状態のことですが、この時の脳波には諸説があり、評価が定まっていません。“その瞬間”の脳波を計測するのが難しいという、そもそもの問題もありますが、少ない諸説の共通点を挙げてみると、どうやら、深いリラックスと高い覚醒を表す脳波が同時に強く計測される状態のようです。

個人的な見解としては、深いリラックスだけ、高い覚醒だけという単一の優勢状態は日常的にも起こり得るため、ゾーン、フローには、それらが併存した、ある種の変性意識状態が必要だと思っています。

高い覚醒も必要ということは、交感神経が強く働くための刺激=ストレスも必要という考え方ですが、そのまま緊張状態に終始するだけでは、能力発揮を阻害する要因にしかなりません。重要なことは、ストレス(覚醒)からリラックスへの切り替えを、どれだけ早く確実に行えるかであり、そのためには日々の準備が必要、つまりメンタルトレーニングの実践が必要ということです。 メンタルウェルネストレーニングでは、トレーニングを実践するだけでは分かりにくい具体的な脳の状態を、脳波を指標としてリアルタイムに観察します。また、前頭葉(Fp1、Fp2)から脳波を取得するため、主に意識活動に関わる脳の働きを観察するわけですが、人間にとって、能力発揮に対する最大の障壁は“意識”です。その“意識”との折り合い方を学ぶことは、メンタルトレーニングにおける最大の課題でもあります。

2020年1月

ニューロフィードバック指導者講座(https://mentalwellness.jp/kouza/neurofeedback/)でも使用している、脳波測定機「アルファテック7」には、コヒーレンスという評価項目があります。これは、同時に取得した2つの信号(左脳と右脳の脳波など)の関係を表すものですが、コヒーレンスを評価できる簡易型の脳波計は、今のところ「アルファテック7」だけだと思います。

脳波は振幅する波形で表現され、2つの波形の動きが一致しているほどコヒーレンス率が高くなり、一方、2つの波形がズレるほどコヒーレンス率が低くなります。そして、コヒーレンス率が高い状態を「位相が揃っている」「位相が同じ」「同位相」などと呼びます。

色々な脳波を計測してみると、コヒーレンス率が高いほど、左右脳のバランスが良く、本来の脳力を発揮しやすいようですが、時々、位相が逆転する=逆位相になるケースがあります。逆位相は、コヒーレンスではないという意味でインコヒーレンスという分類の中に含まれますが、この状態の評価が定まっていません。

これまで、逆位相が多く観察されたのは、集中力が切れた時や抑圧傾向の強い時など、求めている状態と現状とのズレが大きい時という共通点があったように思います。

周波数帯域という脳波の種類(β波、α波など)や、7.8Hz、10Hzという特定の周波数から一歩進んで、コヒーレンスも評価できるようになると、より詳しい状態を見極められるようになります。読み解く項目が増えると、慣れるまでは難しく感じるかも知れませんが、だからこそ面白みが増えるとも言えますので、ぜひチャレンジしてみてください。

2019年12月

師走に入り、忙しくされている方も多いと思いますが、皆様いかがお過ごしでしょうか。

さて、今回は「ビジョントレーニング」をテーマに話をしようと思います。

というわけで早速ですが、突然の暗闇が訪れた時、皆様は、どのような行動を取るでしょうか。そこが慣れた場所であれば、得られる触覚情報から早い段階で空間イメージを構築できると思いますが、慣れない場所であれば、ある程度の時間をかけて周囲の物に触れても、なかなか明確な空間イメージを構築できないと思います。

もちろん、触覚情報の解像度という個人差も影響するとは思いますが、いずれにしても、探索行動をもとに空間イメージを構築しながら、空間における自分の位置を把握しようとするはずです。

一方、明るい光の下、目を開けてモノを見ている時は、視覚情報を中心に、空間イメージ及びそれとの関係を理解していますが、当たり前に思っている、その「見え方」にも、実は一人ひとり小さな、場合によっては大きな違いがあります。

他人の視覚体験を共有することが出来ないため、どうしても見落としてしまいがちですが、自分以外の他人が、どういう視覚認識に基づいて世界を把握しているのか、少なくとも今は、それを完全版として知り得る手段がありません。

人間の感覚機能は、身体の経験=体験を通じて、学び、身に付け、向上させるものです。したがって、体験が豊富な人ほど、自分自身とも、自分を取り巻く世界とも、上手に折り合いを付けやすい一方、体験が乏しい人ほど、自分とも世界とも、うまく折り合いを付けられず、かといって、それを明確な言葉にすることも難しく、漠とした不全感を抱えながら日々を過ごす可能性が高くなります。

人間の基盤は身体であり、その先に脳があります。したがって、豊富な身体経験こそ、最大限に脳力を発揮するための不可欠な要素であり、それをサポートする実践的な方法がビジョントレーニングというわけです。 来る2020年、オリパライヤーでもある節目の年に、さらに多くの皆様に満足して頂けるコンテンツを提供できるよう精進して参ります。来年もよろしくお願い致します。

2019年11月

ストレスと聞いた時、どのようなことが思い浮かぶでしょうか。

好ましくないもの?避けたいもの?

ストレスを感じることは、自分の生命を守るためにも大切な脳力です。また、ストレスを乗り越えることや乗り越えようと努力することが、個体の成長に繋がります。

一方、ストレスを感じる脳のシステムが、あまりにも頻繁に作動すれば、毎日がストレスで溢れかえり、その結果、些細なことに気(エネルギー)を取られ、肝心なことに目を向けられず、勉強も仕事も効率が落ちることでしょう。

つまり、ストレスを、成長を妨げる障害と受け止めるのか、成長をもたらすチャレンジと受け止めるのか、その違いが重要で、その違いをもたらす脳の反応が分かれ目になるのだろうと思います。

もちろん、リフレーミングなどの理性的な対処法もありますが、理性の力に頼るだけで十分かというと、何とも心許ない気がします。本質は、やはり脳の反応にあるため、どのような対処法を使うにしても、その方法自体に面白みを感じているかどうかが鍵で、言い換えると、入力された信号を面白がる信号に変換するコンバーターとして機能するなら、リフレーミングなどの手法も効果を発揮し得るというところでしょう。

スキルは、あくまでもスキルであり、主体は自分(の脳)にあるわけですから、色々なテクニックとMWTを組み合わせることで、それらの効果もより一層高まるだろうという、MWTの強みは触媒機能に(も)ありみたいな話でした。

2019年10月

脳力(脳の働き)と言われた時、何を思い浮かべるでしょうか。

ざっと検索してみると、記憶力、判断力、思考力、創造力、学習能力など、まぁだいたいそんな感じかなという言葉で説明されることが多いようです。

脳波研究にもとづくメンタルウェルネストレーニング(MWT)では

① ケガや病気を防ぐ、あるいは回復させる

② 能力発揮態勢を作る(ここに上記の“○○力”が含まれる)

③ 危険から身を守る

以上の3項目に注目したトレーニング法を紹介しています。

そして、上記①~③は、それぞれ特定の脳波と結び付く傾向が強いため、MWTと脳波のフィードバックトレーニング(ニューロフィードバックトレーニング)を組み合わせると、具体的に変化を確認しながらトレーニングに励むことが出来るという仕組みです。

肉体的成長 → 精神的成長 → 知的成長 → 創造的成長

成長にともない求める価値が変わるため、その価値を実現するための意識と無意識が期待感や満足感を作り、自発的な活動を生み出す原動力になります。

したがって、喜びや満足を求めて素直に行動すれば、価値ある人生を送れる上に、心と身体の健康も手に入れられる…はずですが、そこに、ままならない歪が生じているのが現代なのかと思います。 トレーニングを通じて、脳に備わる本来の機能を発揮させること。その結果として、一人ひとりの幸福に貢献すること。これが、MWT協会の活動を通じて実現したいことです。