ニューロフィードバック

2023年10月

脳波ニューロフィードバック装置「アルファテック7」は、脳波をリアルタイムでモニターしながら脳活動の自己制御を試みる「ニューロフィードバック」トレーニングにも使える装置です。なお、「ニューロフィードバック」のための装置は脳波計に限らず、fMRI(機能的核磁気共鳴画像法)が使用されることもあります。

また、計測された脳の活動パターンをもとに、どのような刺激が提示されたのかを推定する手法として「デコーディング」というものがあります。

今回は、この「デコーディング」と、fMRIによる「ニューロフィードバック」を組み合わせて(デコーデット・ニューロフィードバック:DecNef)、特定の脳活動パターンを生み出すように訓練した、ATR脳情報通信総合研究所の柴田和久研究員らによる実験を紹介しましょう。

この実験では、まず、色々な角度の縞模様を被験者に見てもらい、同時にfMRIデータを取得します。そのデータをデコーディングして、各々の縞模様に対する脳活動パターンを抽出しました。

続いて、色々な縞模様の中から、ある特定の縞模様を選び、その縞模様を見ている時の脳活動を被験者に再現してもらいますが、この時、被験者本人は、何に関わる脳活動を再現するのかも知らされないまま実験に参加したのだそうです。被験者に与えられるフィードバックは、(何だか分からないけど)正解に近い脳活動を再現できているかどうかの成績のみ。したがって、何が評価されているのかも分からない中、とにかく、成績が向上するように試行錯誤したというわけです。

被験者の視点に立つと、なかなかつかみどころがない気もしますが、しかしながら、この訓練を約10日間続け、脳活動パターンを示す成績が向上するようになると、特定の角度の縞模様を知覚する能力が向上しました。

当然ですが、この実験期間中、被験者は、特定の縞模様を繰り返し見たわけではありませんし、そもそも、イメージすらしていないでしょう。それにも関わらず、ある縞模様を、他の角度(傾き)の縞模様よりも上手に見分けられるようになったという結果でした。

さすがに、ここまで精緻な評価にもとづくニューロフィードバックトレーニングは、アルファテック7では出来ません。それでも、脳の使い方に関しては、アルファテック7の使用でも十分に評価できますし、脳の使い方をトレーニングするだけでも、新たな能力を身に付けられたという意味では興味深い実験結果だと思います。

2023年8月

脳波を測りながら実践するメンタルトレーニングを「ニューロフィードバックトレーニング」とも呼ぶわけですが、メンタルトレーニングという手法(細かい説明は省きますが、ここでは狭義のメンタルトレーニング)には、効果が出やすい取り組み方、望ましい取り組み方があります。これまで、トレーニング中の脳波を数多く計測してきましたが、実際のところ、必ずしも理想的とは言えない状態が目立つのも事実で、その時、具体的に何が問題で、それに対して、どう対策を練れば良いかを伝えることがトレーナーの役割でもあります。

ちなみに、メンタルトレーニングを通じて目指すことは、緊張→リラックス、雑念→集中などの切り替えと、マインドセット(考え方)の反射形成が主で、例えば、自信、自尊心、自己肯定感、自己効力感などを、メンタルトレーニング単独で身に付けるのは困難であろうと思います。理由は、それらが自己の成功体験を通じて獲得されるものだからです。

ただし、それらに対してメンタルトレーニングで出来ることは何もないのかというと、そうではありません。成功体験を得るには行動が不可欠です。そして、行動を起こすために必要な主体的かつ積極的なメンタリティーは、トレーニングで強化することが出来ます。「虎穴に入らずんば虎子を得ず」のようなもので、何もしなければ何も得られないわけですから、最初の一歩を踏み出す動機形成には大いに役立ちます。

さて、もともとこの文章は、最近の日本人アスリートの中で、その名を歴史に残すであろう2人の偉人、大谷翔平選手と井上尚弥選手の活躍を見た印象に基づいて書き始めました。大谷選手を見ていて特に感じられる、緩急のメリハリを利かせながらフラットな状態を保つ面は、メンタルトレーニングが得意とする部分であろうと思う一方、井上選手というか、格闘技としてのボクシングに求められるような、ファイトする場面で生み出される強靭さや爆発力の獲得は、メンタルトレーニングだけでは難しく、人生全体に及ぶ色々な経験から創発されるものであろうと思います。 スポーツに限らず、人生における「戦い」の場面で、複雑な感情を抱えながら勝負に挑み、苦しくとも最後まで諦めない強さ、ある種の理屈を超えた強さは、人としての総合力そのものです。そして、それは日々の経験を通じて培われるものであり、今日一日の過ごし方が関わるものでもあります。先ほどの2人を含め、世界を舞台に活躍する日本人の出現は、多くの人の行動やマインドセットを変え得るという意味でも素晴らしいことだと思います。

2020年1月

ニューロフィードバック指導者講座(https://mentalwellness.jp/kouza/neurofeedback/)でも使用している、脳波測定機「アルファテック7」には、コヒーレンスという評価項目があります。これは、同時に取得した2つの信号(左脳と右脳の脳波など)の関係を表すものですが、コヒーレンスを評価できる簡易型の脳波計は、今のところ「アルファテック7」だけだと思います。

脳波は振幅する波形で表現され、2つの波形の動きが一致しているほどコヒーレンス率が高くなり、一方、2つの波形がズレるほどコヒーレンス率が低くなります。そして、コヒーレンス率が高い状態を「位相が揃っている」「位相が同じ」「同位相」などと呼びます。

色々な脳波を計測してみると、コヒーレンス率が高いほど、左右脳のバランスが良く、本来の脳力を発揮しやすいようですが、時々、位相が逆転する=逆位相になるケースがあります。逆位相は、コヒーレンスではないという意味でインコヒーレンスという分類の中に含まれますが、この状態の評価が定まっていません。

これまで、逆位相が多く観察されたのは、集中力が切れた時や抑圧傾向の強い時など、求めている状態と現状とのズレが大きい時という共通点があったように思います。

周波数帯域という脳波の種類(β波、α波など)や、7.8Hz、10Hzという特定の周波数から一歩進んで、コヒーレンスも評価できるようになると、より詳しい状態を見極められるようになります。読み解く項目が増えると、慣れるまでは難しく感じるかも知れませんが、だからこそ面白みが増えるとも言えますので、ぜひチャレンジしてみてください。

2019年1月

2019年から、ニューロフィードバック(脳波)指導者資格認定講座を開催します。ニューロフィードバック(脳波)という表現を使っていますが、実際には、脳波測定機アルファテック7について学ぶ講座です。

 アルファテック7:https://nouhasokutei.jp/

2級:https://mentalwellness.jp/kouza/neurofeedback/neuro2/

1級:https://mentalwellness.jp/kouza/neurofeedback/neuro1/

2017年から販売を開始したアルファテック7ですが、能力開発分野の脳波には、臨床脳波ほどの参考文献があるわけでもなく、そうなると勉強しようにも、どう勉強したら良いか分からない…と感じる方も多かったと思います。 そこで、脳波の基礎から計測事例の分析まで、じっくりと学ぶための機会を設けました。アルファテック7の更なる有効活用を模索する方など、ぜひご参加ください。